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第18話

「ご依頼いただきましたお品物です。どうぞご確認ください」  金や銀の台座に色とりどりの宝石が散りばめられた幾つもの飾りを前に、凪は懐からメモを取り出すと個数や内容が合っているかを確認し始めた。  凪は生まれながらにあまり記憶力が良くない。毎日の同じ行動などは流石に覚えているが、こういったおつかいなどの突発的なものに関しては覚えられた試しがない。そのため常にメモを持ち歩き、忘れないよう心掛けていた。それでもうっかりすることはあるので、慎重に三度ほどメモと商品を照らし合わせる。そしてようやく間違いがないと確認し、凪はひとつ頷くと懐から預かっていた代金を店主に渡した。店主が微笑み、その場で代金を確認し始める。後は品物を傷つけることなく持って帰れば良いだけだと息をついた時、店主が僅かに眉根を寄せた。その様子に凪は内心で首を傾げる。

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