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第33話
数秒の沈黙の後、ヒバリは何を言うでもなくポンポンとウォルメン閣下の手を優しく叩く。それを受けた閣下は微笑み、ヒバリの髪を愛おしげに撫でた。
「では、ヒバリに任せようか。サーミフ、一時君にヒバリを預けよう。私から何かあればヒバリを通じて君に報せることにする。くれぐれもヒバリをよろしく頼むよ」
式典の最中も、一瞬だって側から離さなかった至宝を、一時とはいえ手元から離す。その決断をしたウォルメン閣下に凪は思わず目を見開いた。しかしサーミフは確証があったのだろうか、特に驚いた様子も見せずに笑みを浮かべている。
「ありがとうございます。ヒバリ殿には精一杯のおもてなしをさせていただきますので、どうぞご安心を」
決して不自由はさせないというサーミフにウォルメン閣下は頷いて、ヒバリを促しながら立ち上がった。チラと時計を見れば、もうすっかり夜も更けている。
「では、私たちはこれで」
行こうか、とヒバリの腰に手を回したウォルメン閣下に、サーミフはそういえば、と声をかけた。足を止め、閣下とヒバリが振り返る。
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