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第67話
「お気遣いありがとうございます。でも、これも必要なことですから」
服を買いに行くのだとヒバリは言った。ディーディアに来たばかりの外国人を装い、服を買いつつあちこちを見て回るのだと。
「移住してきたばかりであれば多少キョロキョロしてても不思議には思われないでしょうから」
だから、わざと完璧には溶け込まないようにするらしい。元々ただの使用人である凪に情報収集や駆け引きなど理解できるはずもない。口出ししても余計なことにしかならないだろうとただ頷き、足を進めたヒバリの少し後ろを歩いた。
「そういえば、ポリーヌ殿は一緒でなくて良いのですか?」
サーミフはヒバリを〝ウォルメン閣下の大切な小鳥〟と称したのに、その大切であるはずのヒバリは一人で裏門にいた。どのように情報収集するかまったくわからないが、危険が伴うかもしれないというのにポリーヌも護衛も無しで良いのだろうか。
「私は武芸を嗜まないので、何かあっても盾にすらなれないかもしれないのですが」
主に反射的な意味で、とは口にせずとも伝わるだろう。凪の細く筋肉の少ない身体はどう見ても守るに適していない。
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