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第114話

「……ナギ殿? なぜここに? 何かありましたか?」  ボンヤリとしながらロールを撫でていたはずのヒバリが凪に視線を向けて問いかける。その声にようやく思考の海から戻ってきた凪はほんの少し肩を震わせてヒバリの方へ視線を向けた。 「あ、いえ、その……、何か割れるような音が聞こえたので……」  王宮に勤める使用人としてあってはならないほどに言葉に詰まる。頭が十分に動かぬまま口を開いた凪に、ヒバリはほんの少し首を傾げ、そして、あぁ、と吐息のように零してテーブルに視線を向けた。 「そこまで音が響いてしまいましたか。それは申し訳ないことをしました。それなりに加減したつもりだったのですが」  やはり慣れない場所でやるものではないな、とヒバリはロールを撫でながらひとり零す。そんなヒバリに凪は迷いながらもう一度口を開いた。 「その、これはいったい?」  ウォルメン閣下も謎に包まれた人物であるが、それ以上にヒバリは素性も何もわからない。もしや破壊衝動でも持っているのか? それとも何かを隠蔽しようとして砕いたのか? と様々な憶測が凪の脳裏を駆け巡る。しかしそんな凪の頭の中など知りようもないヒバリは、実にのんびりとソファに置いていた袋を手に取った。 「これです。ナギ殿も一緒にいたので、物はご存知だと思いますが」  そう言ってヒバリが袋から取り出したのは透明なガラス玉だった。それには確かに凪も見覚えがある。確か、水晶玉だと偽って子供が売っていたものではなかったか。

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