115 / 144
第115話
「なぜそれを、その、砕いているのです?」
そのガラス玉に何かあったのだろうか? 夜道で暗かったとはいえ凪の目にはただのガラス玉に見えたし、売っていた子供達もただのガラス玉を水晶だと偽る狡猾さはあったが、それ以外の何かを秘めているようにも思えなかった。だがヒバリには凪には見えなかった何かが見えているのだろうか。
そんなことをグルグルと考える凪に、ヒバリは苦笑しながらゆっくりと首を横に振った。
「大したことでは無いんですよ。多くの人にとってこれは意味のないモノです。おそらくはナギ殿にとっても。ただ、私にとっては必要なことなんです」
ここには閣下がいませんから。
ぽつりとこぼれ落ちた言葉はひどく小さい。少し伏せられた瞳は憂いを帯び、寂しさと色香を纏っている。親を探す迷子の子供のようにも、恋人に打ち捨てられた哀れな青年にも見える彼に、凪が言える言葉などない。
ともだちにシェアしよう!

