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第126話

「まだ調査は続けておりますが、今のところヒバリ様と凪の接点は二度だけだと報告が来ています。一度目は凪が五歳の頃に兎都で開かれた晩餐会で、二度目はツバキ第三夫人が後宮に入られた時。それ以外の接点は見当たりません。それを踏まえて、殿下、ひとつお聞きしてもよろしいか」  凪とヒバリに関係が濃密になるような接点はない。ツバキが後宮に入った時の邂逅はほんの一瞬だったはず。その後すぐにサーミフが凪を引き取ったのだから、もしもヒバリと凪がその後に会っていたなら、サーミフが気付かぬはずもない。兎都の晩餐会でなら関係を深めるような時間があったかもしれないが、五歳の子供がどこまで覚えているのかも怪しいものだ。しかしサーミフがずっと警戒していることを侍従長は知っている。それこそ、凪を使用人として迎え入れたその瞬間から、サーミフは凪を信用などしていない。 「なぜ、それほどまでに凪とヒバリ様をお疑いに?」  常に警戒はしていたようだが、この贋金の件が発覚してからは尚更に、サーミフは二人に対して疑いの目を向けている。幼い頃から仕えてきた主であるからこそ侍従長は何も言わず付き従ってきたが、未だ明確な理由はわからなかった。  凪は愛想がなく物覚えも少々悪いが、仕事は真面目にこなしている。夜に遊び歩くようなこともなく、いっそ潔癖なまでに色事を避けているため問題を起こしたこともない。お坊ちゃん育ち特有の世間知らずさは否めないが、しかし驕ることも不遜な態度を見せることもない。あの生まれにしては珍しいとさえ思えるほど、頭を垂れることに不満はなさそうだった。確かにこの贋金の件では報告に矛盾やおかしな点が多々みられるが、サーミフはそれよりも前に警戒を示していた。侍従長にはわからない何かを、サーミフは感じ取ったのだろうか。 昨日の分の更新予約が上手くできていませんでした。大変申し訳ございません(汗)

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