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第128話

 ディーディアは一夫多妻であるが、兎都はそうではない。富裕層の中には愛人を囲い、その子供を嫡子とすることもあるようだが、愛人本人は愛人であって世間にも法的にも妻としては認められず日陰の存在として生きるより無い。そんな兎都の常識の中で生まれた時から生きてきた人間が、大勢の妻の一人になることを、それも国王とは血のつながりもない子供がいる身でそう簡単に決断できるだろうか? 「ただ野心が強かっただけか? 仮にそうだとして、ならば安心かと言われればそれも違う。野心ある者を内部に入れ、あまつさえ信用などしてしまえば国の破滅だ。何より、ある程度大きくなった状態でこの国の、それも夫人の実子として来た子供ほど厄介なものはないだろう。……子供は、どれだけ親が間違っているとわかっていても親を庇うものだからな。親が自分に欠片でも愛情を注いでいるとわかっていれば尚更だろう。親子の情というものは、そう簡単に割り切れるものではない」  凪はあまりツバキのことを話さない。どちらかといえば会うことを避けているようにも見える。だが、親と慕っていないはずはないのだ。異父妹であるナイーマへの態度が、それを如実に表している。

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