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第130話
贋金の調査に協力を、と言ってヒバリがディーディアに滞在してからどれくらい経っただろう。凪の疲労度で言えば二ヶ月は優に超えているが、実際のところは一月あるか無いかくらいだろう。贋金は国の根幹を揺るがす、とまで言われているのだからそう簡単に片付くことでは無いとわかってはいるものの、何もわからない凪にはひどく長く感じた。おそらくは何かを感じ取っているのだろうヒバリやサーミフが何も言わず沈黙を貫いているのも原因のひとつだろう。
サーミフはもちろん、おそらくはヒバリも国の中核に携わる立場の人間だ。彼らには彼らの考えがある。だが、凪もまた感情のない人形ではない。
はぁ、と思わずため息をついた時、少し離れた場所でクスクスと笑う声が聞こえた。
「珍しいわね。ナギが大きなため息を吐いているわ」
口元に手を当てながら鈴を転がすように笑うのはサーミフのお妃候補として集まった美女の一人――ローラだ。栗色の巻き髪が美しい彼女に同調するように、周りにいた数人の女性たちがクスリと笑う。
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