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第131話
「いつもは仏頂面ばかりで、めったに表情を変えないあなたが随分お疲れのようね? ほら、こちらにいらっしゃいな。美味しいお茶があるわよ?」
おいで、と手招くローラに、側にいた女がすかさずティーポットを手に取る。しかし凪はしっかりと首を横に振ってその場を一歩も動かなかった。
「いえ、まだ仕事中ですからお茶は遠慮します。お見苦しいところをお見せして申し訳ございません」
一礼し、その場を去ろうと凪は踵を返す。しかしローラは終わりにはしなかった。
「あら、こんなに美味しいお茶なのに? 相変わらずあなたは堅苦しいわね。他の皆は誘ったら嬉々として飲んでくださるのに。もっと気楽になさったら? そんなふうでは肩が凝ってしまってよ?」
彼女の言葉を聞くにつれ、凪の眉間にシワが寄る。他の使用人たちは彼女に誘われたら簡単に乗ってしまうというのか?
「さぁさぁ、こちらにいらっしゃいな」
凪が来ると疑わぬ彼女に、さてどうやって断ろうかと思案する。その時、足早に近づいてくる足音が聞こえた。
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