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第143話

「こんな怪しいものを、なに躊躇いなく飲んでおられるのです!」  商品名も何もない、得体のしれない液体。それに封も何もされていなかったから、仮にツバキの言う通りの効能しかない普通の商品だったとしても、誰かが害のあるものを混入しようと思えばいつでもできるものを、検査もせず口に含むとは何事かとポリーヌは眉を釣り上げるが、言われた本人であるヒバリはわからないとばかりに首を傾げている。 「だからロールが誤飲しないよう、ここに居ないことは確認したが」  そんなとぼけた応えにクワッとポリーヌが目を釣り上げる。 「誰がロールの話などしましたか! 私が今怒っているのは、ロールではなくあなた様が得体の知れない液体を口にしたことです! わかりますか? ロールじゃなく、あ・な・た・さ・ま・です!」  これ以上とぼけるなら容赦しないと怒りで肩を振るわせる彼女に、ヒバリはやはりキョトンとしながらポリーヌの手にある小瓶を見つめた。 「飲んだところで俺にこれは効かない。もし万が一効いたとしても、それはそれで喜ばしいことだ。だが、夫人やナギ殿は、これ以上接種しない方が良いだろうな」  彼らは兎都の人間だ。ディーディアの血が混じっているとはいえナイーマも危険かもしれない。

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