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第148話
「もちろん、これは根拠のないものです。証拠などもありません。しかしここにいる者は貴賤にかかわらず、あなたが第三夫人の実子であることを知っていますから」
国王以外にも夫のいた女。子供を使用人に堕としてでも夫人になりたがった女。
ツバキの真意は誰にも、凪にすらわからない。わからないが、人々は実しやかにそう噂をする。そしてそれが事実だと証明することは簡単だ。無いものを有るように作り上げるなど、この王宮にいる者には容易いだろう。だが、無いことを証明するのはとても難しい。
そこまで考えてふと、凪は思い出す。
なぜ今、そんな噂が?
(ヒバリ様の部屋には盗聴器もカメラも、何も仕掛けていないはず……)
正確に言えば〝仕掛けられなかった〟のだが、目と耳が無いという意味では同じことだろう。ヒバリの部屋に行くまでにも人目につかぬよう警戒をしていたし、何よりヒバリが滞在していることはサーミフの命令であまり知られていないはず。なのになぜ、こんな噂が?
〝どうか、私を使ってください。お役に立てるのならば、なんでもいたします〟
確かにあの時、ツバキは不用意な発言をした。時期を考えても、あの訪問が噂の引き金になったとしか思えない。だが、絶対にヒバリの部屋に盗聴器やカメラはないと断言できる。そんなことができたなら、サーミフは凪にあれこれと聞く必要がないからだ。
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