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第153話

 長身の男とは違い、黒髪の男は兎都の者と並んでも少し小さいくらいに小柄だった。隣り合って座る彼らを見ると頭ひとつ分以上は差がある。きっと彼が長身の男の瞳を見つめようと思えば、凪が大人に対してするように随分と首を反らせなければならないだろう。  黒髪の男は淡々としているが、長身の男は隣に座る王とにこやかに談笑している。決して彼らが何か威圧的なことをしていたり、無作法なことをしているわけではない。その心の内は誰にもわからないが、少なくとも表面上はとても友好的だった。セランネとも敵対関係にあるわけではない。なのになぜ、彼らがいるこの晩餐会はこんなにも皆がソワソワとして落ち着きがないのだろうか。  幼かった凪は彼らの素性も、彼らについての噂も、何も知らなかった。  大人たちに緊張感は漂ったものの、晩餐会は早々に終了した。歳のとった王に長時間の公務は難しく、次代のことも考えて同じテーブルの者以外とは話せない格式ばった場はそれなりで終わらせ、後は酒やほんのちょっとしたスイーツと軽食が用意されている広間に移動し、この機会にしか顔を合わせることが難しい貴族諸侯とも客人に繋がりを持ってもらおうと思ったのだろう。そのまま退席する国王を皆が起立して頭を垂れながら見送ると、王子が客人を隣の間に案内し、その少し後ろを貴族たちもゾロゾロと続いた。凪としては退屈なばかりであったが、両親も兄も残るというのなら、一人で帰るわけにもいかない。母に手を引かれて隣の間に入り、子供用のジュースを受け取って早々に部屋の端まで移動した。

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