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第162話

 まだ表情を取り繕うこともできない子供であった凪は、素直に驚きを全面に出してしまう。そのまんまるな瞳が面白かったのか、否、それにしてはなんだか慈愛に満ちた笑みを浮かべてヒバリは凪を見つめていた。 「この国は気候が穏やかで作物が豊かに育つのだろう。昼間に少し街を見て回っていたが、美味しそうなものがたくさん良心的な値段で売られていた。流石に晩餐会にひびくと、買って食べるのは断念したが」  王族でさえも腰を低くして迎える国賓が昼の人混みの中歩いていた? 彼らにはこの国に降り立ったその瞬間から歓迎やらなにやらで予定が詰まっていたはずだが、その合間に街を見ていた? 色々な意味で大胆すぎると引いていた凪に気づいたのか、ヒバリは小さく首を傾げた。 「街に行ったことがそんなにもおかしかっただろうか? 閣下が国王陛下とお話しされている間は暇だったから、気分転換に街に出てみたんだが……」  それはつまり、閣下と呼ばれる長身の男は国王の歓待を受けていたが、ヒバリは受けていなかったということだろうか?  ますます状況がわからなくて、凪は幼い顔に似合わぬ皺を眉間に刻みながら考え込む。

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