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第164話
国王と同じテーブルに着きながら、誰とも話すことなく黙々と料理を食べ、それが終わって貴族に囲まれたかと思えば、彼らが話しかけるのは隣にいる閣下にだけだった。きっと同じように、閣下とこの地へ降り立ったというのに、歓迎の言葉はすべて閣下に向けられていたのだろう。彼が中座して街に出ても問題ないくらい、この国の王族も貴族も、彼を気にしなかった。
ヒバリは今も淡々としている。でも、そんなふうに扱われたら、誰だって悲しい。
「ボクは!」
気づけば大声を出していた。身を乗り出して、無意識にヒバリの手を握る。
「ボクは、ヒバリさまが来てくださって、うれしいです! こうして、となりにいてくださることも。ボクは、こどもだけど、でも、ボクはヒバリさまを、か、かんげい? します!」
幼いながらに凪は必死に言い募った。ちゃんと伝えなければいけないと、なぜだか掻き立てられたから。
何の権力も持たない幼子一人に歓迎されたって、もしかしたら嬉しくないのかもしれない。でも、ヒバリの中で兎都の思い出が空気のように扱われた事実だけというよりはマシに思えた。
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