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第170話

 運命の悪戯か、それとも必然か。あれほど頭を悩ませたヒバリとの再会はあっさりと叶えられた。  国王から信任の厚い貴族の一人がその大きな邸宅に閣下とヒバリを招き、私的な晩餐会でもてなすのだそうだ。私的、と言っても実際本当に〝私的〟であるはずもなく。けれども国王が主催する晩餐会よりは格式が低いからと、あの日の晩餐会に呼ばれなかった貴族にも招待状が送られているらしい。たった一日、それもほんの数時間だけでこの国の貴族全てと充分に会話することは不可能。だからこその場とも言える。そこに望月家も招待された。  いつもであれば凪は気乗りしないと言葉にすることこそないが、面白くないという表情を家族の前では隠しもしない。しかし凪には果たすべき約束があった。それに今回もきっと、大人の目当ては閣下だろう。またヒバリが独り寂しく過ごすのかもしれないと思うと、余計に使命感を覚えた。  彼に〝満月〟を。瞳を輝かせて、凪は母に〝満月〟が欲しいと強請った。母は晩餐会に参加する準備で忙しいから、それが終わってからにしましょうと言ったが、それでは意味がない。この晩餐会を逃せば、ただの貴族、それも子供である凪には国賓であるヒバリと会う手段がなくなってしまう。  お願い、ひとつだけで良いからと必死に頼み込む。その姿が憐れに思ったのか、父が「いいじゃないか」と言って使用人に満月を買いに行かせた。

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