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第176話
「凪ったらわかりやすいんだもの。でも珍しいわね。あなたがソワソワするくらい誰かに興味をもつなんて。それも閣下じゃなくてヒバリ様なんでしょう?」
閣下と呼ばれる男は、確かに目を惹く珍しさだった。大人であっても見上げなければならないほどの長身に、輝くような金にも茶にも見える髪、不思議な光を散りばめるペリドットの瞳。どれもが兎都にはないものだ。その珍しくも美しい姿は老若男女すべての瞳を独占するだろう。そういった意味では、ヒバリは珍しくは無い。ヒバリは兎都の者に紛れてもセランネの者だとわからないほどには、身長も髪の色も瞳の色もよく見かけるものだった。けれど凪にとっては他の誰よりも美しい。
「ごあいさつできる?」
不自然だとはわかりつつも、お友達だから、とは言えなかった。だってあの日の出来事も約束も、ぜんぶ秘密なのだ。彼は〝秘密のお友達〟なのだ。
「良いわよ。国王主催の晩餐会では挨拶できなかった貴族も多いでしょうから、きっと皆さんは閣下の方へ行かれるだろうし。その間に凪はお母様と一緒にヒバリ様のところへ行きましょうか」
幸いなことに、母は深くを凪には聞かなかった。それどころかヒバリの元へ連れて行ってくれるという。これならば自然な流れでヒバリに近づくことができるだろう。あとはコッソリとヒバリのポケットに〝満月〟を入れようか?
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