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第177話
はやく、はやくと急くままに、凪は急いで目の前の食事を食べた。そんなことをしたって動ける時間は変わらないというのに、凪はやめられない。そしてやっと、凪にとっては気の遠くなるほどの時間が経って、皆が動きだすと母が「行きましょう」と凪を促した。
何をそんなに喋ることがあるのだろうかと不思議に思うほど、貴族たちはあの日と同じように閣下を取り囲んで口々に何かを話していた。最初は閣下の隣にいたヒバリも居心地が悪かったのか、一歩、一歩とその場から離れていく。そして閣下を囲っている集団から彼が抜けた時、母がヒバリの側に立った。
「ヒバリ様」
母の呼びかけにヒバリが振り返る。その姿を凪は見上げていた。
やっぱり、ここにいる誰よりも――否、凪が今までに知るどの人よりも綺麗だ。
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