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第195話
真っ直ぐに向けられる瞳に、サーミフは小さく息をついた。きっとこの人は知っている。サーミフが凪とヒバリの関係を探っていたことも、本当は二十年前に二人が出会った舞踏会以外でも繋がりがあったのではないかと疑っていることも。おそらくはこの国に滞在していたヒバリ以上に、閣下はこちらを見透かしている。
ならば、もう隠す必要はない。
「……確かに、閣下の仰る通り贋金の件は早々にわかっていました。本来であれば主犯格から末端までことごとく捕まえて解決にすれば良いだけの話です。そのはずだったのですが、ひとつ、どうしてもわからないことが出てきました」
どれだけ頭を悩ませても、あらゆる可能性を考えてもわからないものが出てきた。それを証明できなければほんの僅かであったとしても隙が生まれてしまう。その隙を見逃すはずはない。人は自分を救うためならば何だってできるのだ。こちらの予想を遥かに超える力を発揮することだってある。
「二度と起こしてはならないものならば尚更に、多少の犠牲を払ってでも根絶やしにすべき。それが私の信条です。だからこそ捕まえることなく、ヒバリ殿の力を求めました」
凪に遣いを頼んだ時、さりげなく贋金を持たせるように命じたのはサーミフだ。そうして凪を自然な形で調査に巻き込むことができた。
式典にウォルメン閣下とヒバリが参加すると知ってからずっと、策を練ってきたのだ。贋金はセランネでも見られるようになったと報告があった。ウォルメン閣下がそれをこちらに持ってくるかは賭けだったが、もしもサーミフの予想通りであればあの非情になりきれぬヒバリが気にしないはずもなく、そうなれば彼を溺愛している閣下が動かぬはずもない。
そしてそれは現実となった。
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