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第196話

「やはりね。最初から君が我々、というよりヒバリとナギ殿を疑っていたことは知っていたよ。今回のことだって、ヒバリとナギ殿を接触させることで何かがわかるのではないかと考えていたのだろう?」  同じ場所に、それも何日もいれば心に隙が生まれる。人間はそう長く気を張り詰めることはできない生き物だ。時間が長くなればなるほど、どこかで気の抜ける瞬間ができる。まして調査のためと言えばいくらでも二人きりになることはできたのだ。サーミフは考えたことだろう。ヒバリはともかく、凪はその少しの瞬間にボロを出すと。 「この贋金の件で矛盾が生じたのは全て兎都の人間です。彼らはあまりにも――」 「言動がおかしい、かい?」  サーミフの言葉を遮るようにウォルメン閣下が言う。それにさほど驚くことなくサーミフはそうだと頷いた。 「どれほど尋問を重ねても、彼らは辻褄の合わないことを言います。それが罪を逃れたいがための言い訳や嘘であるのなら、もう少し話を練ったらどうだと言うだけで終わるでしょう。しかし彼らは自分の発言がおかしいことにも気づいておらず、嘘も言っていないと口を揃えて言います。戯言をと切り捨てたいところですが、科学の力を用いても彼らが嘘をついているという証拠は出ませんでした。むしろそれは〝彼らは本当のことを言っている〟という証拠となってしまった。けれど辻褄が合わない。まるで集団で記憶が抜け落ちてしまったかのようです」  嘘をついているという証拠はなく、嘘でないとするならば話の整合性がとれない。

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