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第198話

「確かにあの子の親は兎都の者であるかもしれないが、今まで会ったこともないし、これからも会うことはないと断言できる」  だから兎都になんら思い入れはないし、肩入れする義理もないとウォルメン閣下は言う。それにサーミフはほんの少し目を細めた。 「しかし理由になるのは何も親兄弟だけではないでしょう。愛国心で動く者も多い。ヒバリ殿が兎都の地を愛しているという可能性も――」 「無いね。ヒバリは生まれも育ちもセランネの孤児だ。もちろん、どこで生まれ、どこで育とうと自らの血を愛する者はいるだろうが、ヒバリはそこに重きを置かない。あの子は確かに情が深いけれど、それは全てに理由がある。少なくともヒバリ自身にはね。今回ヒバリが動いたのは兎都のためではなく、ナギ殿のためだ。君が想像していることは何もない。それはヒバリの主人として保証しよう」  ついでに、とウォルメン閣下は懐から小さな瓶を取り出した。それをテーブルに乗せ、サーミフの前まで滑らせる。 「私の可愛いヒバリのためだ。君が求めているものをあげよう」

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