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第202話
サーミフはジッと、手の中にある小瓶を見つめる。これが、神話と呼んでも良いほど昔のもの? にわかには信じがたい。だがサーミフが探し求めても得られなかったモノを、目の前の彼は持っているという。
「……お聞かせください」
真偽を疑うのは聞いてからでも遅くは無い。コツ、コツ、と小さく聞こえる足音に注意しながら、サーミフは閣下に視線を向けた。
「なら、まずはどこから話すのが良いかな。……そうだね、根本的なところからにしようか」
もう一度深くため息をついて、閣下は瞼を閉じた。
「君は、自分の前世を覚えているかい?」
唐突な質問にほんの僅か、サーミフは目を見開く。
「……いいえ。中には覚えている者もいると聞きますが、私には何も」
「そうだね。私たちの多くは前世を覚えていない。生まれ落ちた瞬間から新たな記憶が積み重ねられ、新たな人生を歩む。だけど不思議なことに、かつて兎都の地に生きていた者たちは皆、覚えていたそうだよ。一人も洩れることなく、全員がね」
まさか、とサーミフは思わず笑いそうになった。兎都は小さな国ではあるが、それでも〝国〟なのだ。そこに生きる者達が皆、前世を覚えているなどあり得ない。だがそれを語る閣下はひどく落ち着いていて、冗談を言っているようではなかった。
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