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第217話

「ここ、は……?」  ヒバリの肩越しに見えたのは、随分と無機質な壁だった。コンクリートが剥き出しで、窓のひとつもない。物も置かれておらず、あるのはただ己とヒバリの身体、閉ざされた扉、そして頼りない電球くらいだ。しかしどうにもおかしい。 「なんで、こんなに煙って……」  そう、火事でも起きているのかと思うほど視界がボヤけている。見渡す限り何もないのに、霧のようなそれは消えない。それどころか少し濃くなっているような気がする。  吸ってはいけないと本能が警鐘を鳴らす。先程ヒバリがハンカチを取らない方がいいと言ったのはこのためか。しかし吸ってはいけないと思えば思うほど苦しくなって、口が酸素を求めて開いてしまう。その度に頭がボンヤリとした。まるでこの霧のような何かが頭の中までも覆い尽くしているかのようだ。 「落ち着いて。これはあなた達にとって良くないもの。だからあまり吸い込まないためにも、気を落ち着けて」  どこか幼い口調でヒバリが言う。きっと凪を宥めようとしているのだろう、背に回された手がポンポンと優しく撫でた。

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