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第220話
ガチャガチャと扉の方で音が鳴る。鍵を解除していたのだろうか、少しすると扉が開く鈍い音が響いた。
「おや? こいつ起きてやがる。薬が足りなかったか?」
どこか掠れた、壮年の男の声が聞こえる。ヒバリが起きて立っていることに不思議がっている様子だ。拙い、と凪の背に冷や汗がつたう。しかしその恐怖は別の声でかき消された。
「大丈夫だって。見ろよ、こいつの目。トロンと蕩けちゃってまぁ。睡眠薬はあんま効かねぇタイプだったかもしれねえけど、こっちは効いてんだから問題ねえよ。ほら可愛こちゃん、こっちにおいで」
若い声がどこか面白がるようにヒバリを呼ぶ。おそらくヒバリは素直に従ったのだろう、コツ、コツ、とどこかおぼつかない足音が聞こえた。
「ん……、ふふ……」
甘く蕩けるような声だった。ピチャ、と水音も聞こえてくる。何が起きているのかさっぱりわからないが、耳にとどくそれらに凪は胸の内から何かが迫り上げてくるのがわかった。
叫びたい。耳を塞ぎたい。何も聞きたくない。逃げたい。気持ちが悪い。
「そっちのおちびさんが怪しいってんで見張ってたら、まさかこっちの美人さんも釣れるだなんてな。正直お前のことは良いとこの子かと思ってマークしてなかったんだが、この様子じゃぁ、やっぱり兎都の奴だったんだな。それなら話は早い。ここでゆっくり楽しいことをしようか。そうしたら帰してやるからよ」
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