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第227話

「地下であれば、とりあえず地上に出なければ話にならないけど、でもあまり無謀なことはできない。この状態なら、周りの助けは望めないかもしれないから」  さほど響きはしないが、それでも無視できない程度にはあちこちから悲鳴のような声が聞こえる。凪は先程からそれが聞こえるたびにビクリと肩を跳ねさせているが、おかげで少しだけ頭も回るようにもなった。  おそらく、こんなに声が聞こえているということは周りに建物や人の通りが無い場所にあるか、あるいは建物は完全防音になっているかのどちらかだとヒバリは言いたいのだろう。そうであれば確かに、大きな物音や叫び声で助けを求めることはできないし、上手く外へ出たとしても通行人に助けを求めれば解決などという楽観的な策はとらない方が良い。 「とはいえ、こうも見た目に変化のない構造だと地上部分に行くことすら難しい、か……」  ポツリとこぼされたヒバリの呟きに、それはそうだなと凪も声に出すことなく頷く。  なにせここは工場か? と言いたくなるくらいに灰色の壁が続いているのだが、長い廊下に幾つもの扉があるばかりで違いがわからない。階段も見当たらないということは、おそらくそれさえも扉の向こうにあるのだろう。この建物を作った人間は効率よりも遊び心を優先したに違いない。

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