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第239話

 ズシリと小さな見た目に似合わぬ重さが手のひらに伝わる。 「……そう深く考える必要はない。大丈夫、できる限り俺がやる。それで脅すのは最終手段だと思って、今は気にしなくて良い」  きっと、自分は今ひどく頼りない顔をしているのだろうと凪は自嘲する。弾は抜かれているというのに、拳銃を手にしただけで、否、それで〝人〟を撃つかもしれないと想像しただけで血の気が引いて、立っていられることすら不思議なほどに全身の感覚がおぼつかない。そんな凪をヒバリは気遣わしげに見ている。その視線に耐え切れず、凪は俯いた。  ここにはお互いしか味方はいない。助けがいつ来るのか――そもそも助けが来るかどうかすらわからない状況で、自分は甘えたことを言ったという自覚が凪にはある。例えそれが正当防衛になろうとも撃ちたくないという自分の恐れを優先したがために、いざとなればヒバリが手を汚すのだろう。そう目の前の彼は覚悟した。否、凪が覚悟をさせてしまった。けれどそれがわかっていて、凪はやっぱり大丈夫だと、いざとなったら撃てるとは言えない。  彼に後悔させたくなくてついてきたというのに、何の覚悟もできていなかった。足手纏いにしかならない自分が腹立たしくて嫌になる。なぜ勇気が出ないのかと唇を噛んだ時、そっと凪の肩に優しい手が触れた。

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