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第246話
「では同行させてもらおうか。ティゼットも私の車でついてきなさい。何かわかればすぐに報告を」
トントン、と自らの耳元を軽く叩いて命じた閣下に、ティゼットと呼ばれた女性は力強く頷く。それを見届けてサーミフは閣下と侍従長、そして閣下の執事と共に車に乗り込んだ。
「できるだけ隠れて移動せよ。下手に刺激しては何が起こるかわからないからな」
サーミフの命令に運転するディーディア兵が緊張を滲ませながらも頷いた。本当はサイレンでも鳴らして最速に指し示された場所へ向かいたいところだが、ヒバリと凪があちらにいる以上、迂闊なことはできない。それに、囚われているのがヒバリと凪だけだと、誰が確信をもって言えるだろうか。
「刺激しない方が良いというのは大賛成なんだけど、少しばかり急いだ方が良いかもしれない」
チラと腕時計を確認した閣下が眉根を寄せて言う。側に座っている彼の執事もまた、端末を見ながら難しい顔をしていた。
「何か問題が起こりましたか?」
サーミフが持つ情報だけを見れば、二人を捕らえた者たちは少々浅慮だ。ゆえに後々のリスクを考えずに目先のリスクを消すことを優先する傾向にある。だからこそその場で殺されなかったのならほんの少しかもしれないが猶予はあるのではと考えていたのだが、その表情を見るに閣下も執事もそうは思っていないようだ。
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