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第247話
「いや、何かが起こったわけではない。ただ、このままだと確実に何かが起こる。ヒバリの首輪が外されたからね。もって二時間、あれば良い方かな」
二時間。それが首輪を外されてからカウントしてのものであれば、確かに猶予など存在しない。むしろ、もはや間に合わないのではないかとさえ思ってしまう。
「敵が何人いるかわからないが、あの子に持たせた即効性の睡眠薬で凌ぐにしても限度がある。大勢の敵には向かない。危険がわずかでも残っていたら、きっとヒバリは己を殺すだろう」
「何かしらの方法でヒバリ殿が敵を殺める、ということですか?」
もしそうであるなら、ディーディア王子としてサーミフは動かなければならなくなるだろう。例えウォルメン閣下がどういう存在であれ、ヒバリが閣下の大切な小鳥であったとしても、ディーディアの法は遵守すべきものである。根幹は揺るがせない。
「必要があれば、あの子は迷いはしない。後悔はするだろうけどね。そこに他者からの正当性なんて関係ない。だがそれも、ヒバリが正気を保っていたらの話だ」
側には凪がいるのだ。彼を守るためなら、ヒバリは非情な手段さえとるだろう。だが閣下が懸念するのは、そこではない。
「なにせ私から離れた時間が長い上に、首輪まで外されてしまっているからね。ヒバリが正気を失って、凪殿がトラウマにならなければ良いが」
そんなことになったら、きっとヒバリが悲しむ。ポツリと呟いた閣下にサーミフはほんの少し眉根を寄せる。
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