251 / 257
第251話
「君の警戒は半分は的外れで、半分は正解だ。君が思っているような関係は一切ないと断言しよう。そもそも会ってもいなければ連絡もとってないしね。だが、今回ヒバリが手を貸した大きな理由の一つが彼であることは否定できない」
ヒバリほどの記憶力はないが、ウォルメン閣下もあの日を覚えている。少し離れている間、何をしていたのかと問いかけた自分に、ヒバリは嬉しそうに微笑んだ。秘密だと。
秘密なんて存在することはないとわかっていて、ヒバリはそれが答えだというように。
「小さな子供を振り払えるほど、ヒバリは非情にはなれない。子供が苦しむとわかっていたら尚更ね」
それが誰であれ〝子供〟という存在はヒバリの魂を大きく揺さぶる存在だ。見捨てられないというのは当たり前のことなのだが、当然そんなことは知らないサーミフは訝しげに眉根を寄せた。
「凪はもう子供という年齢ではないのですが……」
凪は体格の大きな者が多いディーディアの中では確かに小柄だが、それでも子供と称するには苦しい。彼らが出会った舞踏会から、もう何年も経っているのだ。ヒバリとてそれがわかっていないはずはない。だがそう考えるサーミフに閣下はクスリと笑った。
「はは、現在の年齢なんて関係ないよ。もちろん見た目もね。出会った頃に子供であったなら、ヒバリにとって相手はいつまでも子供だ。まぁ、もうここまできては我々にとって老人さえも赤子と言えるがね」
かといって、こちらの内面が老成したわけでもないが、と閣下は静かに笑った。その笑みはどこか悲しげで、達観したわけではないとサーミフに知らせる。
ともだちにシェアしよう!

