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第252話
「では、今回は本当に情だけで動いてくださったと?」
何の私欲も思惑もなく?
「ヒバリはそうだね。私はヒバリの望む通りにさせたいという私欲で動いたが」
「ですが年に数回、手紙を受け取っていますよね? 送り主が〝望月 椿〟と書かれた手紙を」
無記名ではなく、第三夫人ツバキでもない。彼女にとって過去となったはずの名で送られた、その手紙。それをどう説明するのかと目を細めるサーミフであったが、閣下は何でもないことのように頷いた。
「ああ、あの手紙のことか。それなら丁重に〝受け取り不可〟で送り返しているだろう?」
「ですがすべてに開封された跡がありました。中身はご覧になっているのでは?」
開けた封筒ごと、新しい封筒に入れて送り返されるそれ。
「見たよ。もちろん、私だけでヒバリには見せていないが。ヒバリにとって知っておかなければならない急用であったりしたら困るから中身は確認しているけど、どれも季節の挨拶ばかりだし、特別なものは何もなかったから送り返したよ。だから中身は君も知っているだろう? 私はね、私が許したもの以外はヒバリに近づけたくないのだよ」
それがなんの裏もない、純粋な心であってもね。
小さく、閣下が笑う。その笑みは先程までと同じであるはずなのに、ゾクリとサーミフの背を冷やした。
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