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第262話
「緊急事態だからね、ティゼットに頼んで監視カメラをハッキングしてもらった。ディーディアの兵は無線機を持っているだろう? 君が指示するか、兵の一人を寄越すか、そこは君に任せるよ」
私はヒバリを迎えに行かないといけないからね、と笑って閣下は執事から拳銃を受け取ると慣れた手つきで弾を装填し始めた。同じように執事もティゼットと呼ばれた女性も自らの拳銃に装填している。その光景にギョッとしたのはディーディアの兵士たちだった。
ここに付いてくるだけでも問題なのに、国賓自らが問題の渦中に飛び込んで行こうとしているのだ。〝下手をすれば国際問題〟の言葉が脳裏をよぎったのは一人や二人ではないだろう。何とかして止めてほしいと縋るような目で兵士たちはサーミフの方へ視線を向ける。そしてまた大きく目を見開く羽目になった。
「ありがとうございます。では兵を一人ここに待機させて、随時情報を流すようにしましょう」
迷いなく言い切りながら、サーミフは拳銃の弾を装填していた。閣下を止めるどころか乗り込む気マンマンの姿に兵士達は天を仰いだ。それは諦めだったのか、それとも何かに救いを求めようとしたのか。少なくともサーミフと閣下には理解できない光景がその場にあった。
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