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第264話
「迎えに行くと、約束をしたんだ。あの子との約束は何があっても果たさなければならない。それがあの子にできる、唯一のことだからね」
だから止めてくれるなと言う閣下に、サーミフはゆっくりと瞬きをすることで肯定した。その決断は自分たちを守る兵にすれば身勝手以外の何者でもないだろう。その我儘ゆえに自分たちの命を、そして国全体を巻き込むのかと。その感覚は正しくて、この場で間違っているのは自分と閣下だとサーミフは自覚している。だが、こんなにも理性が働かなくなったことのないサーミフに今の自分にある何かを瞬時に理解するだけのものはなかった。ただわかっているのは、きっと閣下の身に宿るモノと、いま自分が感じているモノはきっと同じだろうという、それだけ。たったそれだけが、どうしてか全てを捨ててでもと我が身を動かす。
「小隊長は兵を分散させて突撃の準備を。監視カメラを見るに、やはりナギとヒバリ殿以外にも捕らわれている者がいるようだ。彼らの安全の確保と速やかな保護に注力せよ。こちらの護衛は侍従長に任せる。閣下の配下の方も手練れのようだから、心配はするな」
年をとったとしても、王位継承権を持つ者の一番近くに侍る侍従長は当然ながら戦う術を持っている。手慣れた様子を見るに閣下の執事やティゼットも閣下の身を守るだけの力はあるのだろう。全くの丸腰ではないのだからと小隊長を説き伏せて、サーミフは一部の兵と閣下らと共に正面玄関へと向かった。
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