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第287話

「知って、いたのか。では、あの時からずっと、私の行動に裏があるとわかっていて従っていたと?」  もしも本当に凪の中になんの悪心もなかったというのであれば、サーミフの言動すべてが理不尽に思えたことだろう。しかしそんなこと微塵も感じさせず、彼は微笑んでいた。そう、今でさえも。 「それがあなた様の役目ではございませんか」  今回、贋作の件を調査したように、幾人かいる王族の中で秩序と安寧を司っているのがサーミフだ。守るために疑い、守るために調べ暴き、守るために壊す。それは宮殿の中も外も変わらない。 「私が従う事と、殿下が私を疑うことは同じではないでしょう。使用人だからと、ただそれだけで気を許し、疑いの目から外してしまうのはリスクが高すぎる」  そんなことをしてしまえば、王室は簡単に滅んでしまうだろう。だって悪意を隠し使用人になって王宮に入り込めば良いのだから。  使用人の立場であれば、安易に信じてよかったのかもしれない。だが王族であるサーミフは、それをしてはならない。凪が言わずとも、サーミフはそれを幼い頃から理解している。 (だからこそ余計に、僕と母を怪しんだんだろうな)  ぽつりと、凪は思う。それは感傷にはなり得ない。ただ静かに事実が胸に落ちただけだ。

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