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第299話

「ッッ――、その、時がきてッ……、すべてが、明らかになった、らッ……、どうかッ、母を、ゆるしてあげてください――ッ」  息を荒げながら、それでも凪はサーミフに訴えた。その言葉の意味を理解して、サーミフは耐えるように唇を噛む。  きっと凪は、察している。 「母は、せけん、知らずです……、それでもッ、決して愚かではありませんッ! 大切にすべきものをッッ……、見誤ったりしないッ」  サーミフが未だ疑いを晴らせない何かがあると、察している。 「それでも、それでも母に何か咎が、あるのだとしたらッ、……それは、私が償いますッ」  どうせ自分には既に咎がある。それが一つ二つ増えようと変わらない。そう言いたげな凪を、サーミフはただ静かな瞳で見下ろした。 「それで良いのか?」  小さな、吐息に混じるほど小さな呟きに凪は顔を上げる。しかし何かを言う前にサーミフは凪から視線を逸らせた。 「誰か! 医者をよべ!」  扉の方へ声を上げながら、サーミフは今度こそ凪に手を伸ばし、そして軽々とその身を抱き上げた。ほんの僅かな動きであったはずなのに激痛が走る。先程の言葉の真意を聞きたいのに、凪の唇は震えるばかりで声を出すことはできなかった。  バタバタと慌ただしく人が出入りする。そして呆れた声で何かを言われ、凪の視界は真っ黒に染まった。

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