300 / 300
第300話
ディーディアの技術は他国に引けを取らない。そう言ったものの、やはり未知のものを解析しようとするのは難しく、結果が出たのは凪が目を覚ましてから四日後のことだった。
手渡された報告書を眺め、サーミフはついつい深いため息をつく。
本当は、やるべきことは山程あった。しかしウォルメン閣下を訪問しようにも、今はヒバリの調子が良くないからと日を改めるよう言われ、凪はサーミフの顔を見るとまた無茶をするかもしれないからと医者に止められたため、せめて全ての答えが出てからと、あの日から見舞いに行くとは控えていた。物事を進めてしまいたいと思うのに、ただ待つことしかできない時間はなにも初めてではないが、これほどもどかしく思ったことは無いかもしれない。そしてようやく進むための駒が来たとはいえ、これからのことを考えると純粋に喜ぶどころか重苦しい何かが押し寄せてくるばかりだ。無意識に、また重い重いため息がこぼれ落ちる。しかしただ報告書を眺めていたとて何も動きはしないと、サーミフは重怠い身体を無理矢理に立ち上がらせた。
「父上と第三夫人は、今どちらに?」
問い掛ければ、側に控えていた侍従長がすぐに第三夫人のお部屋ですと答える。それに好都合だと頷いて侍従長に先触れを任せると、サーミフもまたゆっくり歩き始めた。
ともだちにシェアしよう!

