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第309話

 静かに、サーミフは瞼を閉じる。  これを見ていた時、あの子はどんな顔をしていただろうか。 「殿下」  寝室に消える使用人たちに紛れて侍従長がサーミフの側に寄る。小さく頷いて、サーミフはそっと踵を返した。  まだまだ国王へ報告すべきことは山程ある。そして当然ながらやるべきことは報告だけではない。むしろこれからが本番でもあるだろう。だが、今の国王に何を言ったところで、妻や子を心配するあまりサーミフの声はその耳に届くまい。ならば時間は賢く使うべきだろう。 「ウォルメン閣下から会っても構わないというお返事をいただきました。すぐにお車はご用意できますが、いかがいたしますか?」  どうやらヒバリの容体も落ち着いたらしい。凪にヒバリの様子を伝えると約束したことも思い出し、サーミフは頷いた。 「ではすぐに向かおう」  見舞いの品も運んでくれと命じ、サーミフは足早に進む。 「万事抜かりなく。……怪しい動きをした者二名については見張りをつけております。ご安心を」  ポソリと小さく告げられたそれに視線を向けて、サーミフはほんのわずか頷きを返した。

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