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第310話
ウォルメン閣下はディーディアに小さな屋敷を持っている。小さいと言っても、それは閣下や王族の基準で見ればの話で、世間一般的に言えば十分に御殿と言って差し支えないほど広く美しい屋敷だ。なんでも、何十代も前のディーディア国王から直接土地を買い、そこに閣下が屋敷を建てたのだとか。真偽のほどはわからないが、そんな屋敷の門をサーミフの乗った車は潜った。
玄関前には執事服を纏った一人の男が立っていて、サーミフが降りてくるのを頭を垂れながら待っていた。閣下の側でよく見かける執事かと思ったが、どうやら違うらしい。見たこともない執事の男が洗練された動きで顔を上げた。
「ようこそお越しくださいました。どうぞこちらへ」
執事の声に合わせるように、中から玄関扉が大きく開かれる。先導に合わせて、サーミフはゆっくりとウォルメン閣下の屋敷に足を踏み入れた。
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