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第321話

 生きていればうっかりも、ほんの少しの失敗もつきものだ。完璧な人間などこの世に存在しない。まして人はそれを失敗とは呼ばないということまで、ヒバリは直そうとした。何度も、何度も繰り返して。それは自らに呪いをかけているようでもあった。蹲って泣く姿が、怖いと怯える姿が可哀想で、見ていられなかった。 「私はあの子に言った。これをただのガラス玉と見る者もいるだろう。安物だと思う者もいる。けれど綺麗だと、キラキラと輝いていると思う者だって必ずいるんだ。それは職人がたくさんの失敗を重ね、試行錯誤を繰り返して作った結晶だからだよ、と。失敗はダメなものじゃない。失敗するから、人は美しくなり、愛されると」  幸せを欲しがることは悪いことじゃない。そのために努力することも、賞賛されるべきことだ。けれど誰かの意に沿わない〝失敗〟を排除して得るというのは、なんだか違うような気がした。それはあの子が欲しがっていた本当の幸せではないのでは、と。 「たかがガラス玉と言われればそれまでだけどね。でも、見るたびに思い出してほしいと思った。失敗を恐れなくて良いのだと。君は君だからこそ輝くのだと。割れて砕けてしまったなら、それでも構わないと思っていた。そうなった時に叱らないでいれば、物はいずれ壊れるもので、怖がる必要はないのだという経験になるだろうとね。だが、私の思いとは全く違う形でこのガラス玉は壊れた。それこそ、あの時のすべてが私にとっての失敗だと言えるだろう。だから、ヒバリにとってガラス玉を壊すという行為は、擬似的に自分の心を壊す行為になった」

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