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第337話

「……お前は、知っていたと言っていたな。私が引き取ると言ったその時から、私の考えを知っていたと。……聞かせてはもらえないか? なぜ、わかっていながら献身を貫いた。なぜ、あれほどに嫌悪していたというのに、私に疑われるというリスクを負いながらもヒバリ殿の行動を報告しなかった」  母親と自分の身だけを考えるなら、それなりで良かったはずだ。今こうしてサーミフを責めるだけの理由ができたのだから、何かを要求したってよかった。少なくともこうしてサーミフを慰めたり肯定したりする必要はない。ヒバリがガラスを砕いたこととて、あれほどに嫌っていたのなら言っても良かったはずだ。そうすれば少なくとも凪はサーミフに疑いの目を強められることはなかっただろうに。  凪の言動が、サーミフには理解できない。だというのに、凪は当たり前のことをと小さく笑みを浮かべた。 「確かに、私は現状の何もかもに未だ納得はできていません。幼い言い方をすれば、大嫌い、でしょうか。何もかもが嫌いでたまりません」  逃げようとだけ言って、結局望月に何があったのかを言わずに母が自分を連れ出したことも、世間知らずゆえに働くよりも王の愛人になることを選んだ母の選択も、働き口を紹介するのではなくディーディア王に母を渡したヒバリも、嫌いで嫌いで仕方がない。けれど、 「でもそれは、いつか薄れていくものです。今だって、その思いに四六時中苛まれているわけではありませんし、他の記憶と同様にその光景は白い靄がかかったように詳細を思い出すことはできません。元々、私は忘れっぽいですから」  嫌だった、不満だった。そんな感情は覚えているけれど、光景は日に日に薄れていく。残っている感情とて、ずっと頭に響いているわけではない。それが人間の防衛本能と言われればそれまでだけれど、それに不都合は感じなかった。  覚えていることは、なんとも生きづらいから。 昨日は何故か一日中ネットが繋がらなくて、予告なしに更新お休みしてしまい、申し訳ございませんでした(汗)

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