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第343話

「ヒバリ殿は特殊な存在だ。公の存在であり、公ではない存在でもある。閣下が隠すと決められれば、少なくともセランネはヒバリ殿に何かあったのだと把握することは不可能だろう。……ゆえに、ディーディアはナギに感謝しなければならない立場だ。罪に問うことなど、尚更できはしない」  元々罪に問う気は無かったが、凪が納得できないと言うのであればこうして断言すれば良い。このディーディアにあって、罪科の裁量を握っているのはサーミフなのだから。 (それに、全ては事実だからな)  サーミフはその場限りの慰めや出鱈目を言ったわけではない。事実、サーミフは――ディーディアは凪に感謝すべきなのだ。  サーミフとて何の策も無しにヒバリを巻き込もうなどと考えたわけではないが、それでも凪が無意識に行ったことの結果とは比べるまでもない。人に恩義を感じさせるのは、なかなか狙ってできるものではないのだ。それも見せかけではなく、心からの恩義などは。しかしそれが得られれば、これほどに強いものなどない。いわば絶体絶命の状況をひっくり返す切り札にもなり得るのだ。それを、凪は得た。サーミフではない、ディーディアでもない、凪自身が得たのだ。

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