352 / 354
第352話
「なるほど。では、最初に君に聞きたい」
ある程度目を通し終えたサーミフが男へと視線を向ける。男はやはりつまらなそうな顔をしていた。
「何故こんなことを?」
王室を巻き込むというのは大胆であったが、そもそもそれがなかったとしても彼らが行ったことは悪魔の所業と言って良いものだ。やったことだけを見れば、人を人とも思わぬ残酷さがある。それをやってのけた理由はなんだと問いかければ、男は馬鹿にしたように鼻で嗤った。
「何回も何回も同じことを聞いて、お前らは本当に飽きねぇな。そんなにお暇かい」
あからさまにサーミフを馬鹿にした話し方に看守たちは無言ながらも眉根を寄せる。しかしそれが何であれサーミフの心を揺らすことはない。嫌なことではあるが、こういったことには慣れていた。
「行動理由はとかく大事なものだ。このような件ならば尚更に。例え被害者だろうと加害者だろうと、訴えたいことはあるだろう。それを私は自分の耳で聞くことにしている。君からすれば何十回と言った、すでに飽き飽きしているような言葉でもな」
声の揺れ、視線のあり方、速さに、そこにある温もりの差。文字だけでは読み取れぬ様々なことを理解したいとサーミフは思うが、その思考さえも男は嗤った。
ともだちにシェアしよう!

