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第354話
「どうせ捕まっちまったし、お前らのために黙っててやる義理もないんでね、教えてやるよ」
馬鹿馬鹿しいが、と男は腕を組んでハンッと鼻を鳴らした。
「お前は腹が減ったことはあるか? 病気になったことは? 喉が渇いたらどうするよ。なぁ、王子サマ?」
本当にあるのか? と嘲笑うかのように男は問いかける。それが何を意味するのかサーミフにはわからなかったが、裏を探ることなく頷いた。
「生きている以上、腹も減れば病に罹ることもある。それに身分など関係ない。等しく人間だからな。喉が乾けば当然、水やその他の飲み物を口にするだろう」
当たり前のことを答えた。王子としてではなく、これは人間として。しかしその答えに男はケラケラと嗤う。
「等しく人間。ははッ、あぁ、そうだよ。俺も王子サマも等しく人間だ。けどな、王子サマよ。それ全部に金がかかることを、本当に理解してっか?」
サーミフが空腹を覚えるように、男もまた空腹を覚える。病に苦しむことも、喉が渇くことも同様だ。だが、二人は確かに違う。少なくとも男にとっては全く違うモノであった。
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