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第366話
「ずっとお兄様を見かけないから、探していたの。女の人たちに聞いてみたけど、皆知らないって言うのよ? だからね、あの人たちが知らないなら、きっと奥にいるだろうって思ったの!」
正解だったわ! と、自らの推理が当たったことを誇るようにナイーマは胸を張った。えっへん、と声まで聞こえてきそうなほどである。しかし凪はそれにどう答えたら良いかわからず、瞳を彷徨わせた。
早く、早く何かを言わなくてはならない。だがずっと凪いでいた心は突然のことに復活してくれるほど優しくはなく、言葉の一つも思い浮かばなかった。ただ〝すごいですね〟といえば良いだけであるのに、それさえも浮かばない。
「でも、どうしてお兄様は寝ているの? どこか病気なの?」
その言葉に凪はハッとした。王女の前であるというのに、どうしていつまでも自分はベッドの上で寝転がっているのだろう。早く降りて頭を垂れなければならない。彼女が何と言おうと、自分は使用人だ。
だが、どうしてこの身体は鉛のように重いのだろう。動かそうと思うのに、動けない。
「ごめんなさい、お兄様。ご病気なら、ダメだってわかっているのだけど、でも、でもね、ナイーマはうれしい」
だって初めて、お兄様が私に頭を下げなかった。いつだって間にあった壁が消えたように思えて、どうしたって嬉しい。ナイーマはふっくらとした可愛い頬を赤らめて笑った。そのキラキラとした瞳を見ることができなくて、凪はほんの少し視線を逸せる。
(ごめんね……)
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