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第377話

 未知の毒に対する解毒方法は未だにわからないが、それ以外のことは少しずつではあるものの解決に向かっていた。  あの日、凪を案じたツバキ第三夫人が洩らした、望月当主の書斎で見たという貴族の名前。それもまた偽名であったが、兎都の貴族では有名な偽名だったようで、そこから武器等の売買ルートなどが明らかになった。それでも、貴族は姿を隠すのが上手く、未だその正体を掴めない。焦ったさに自らが乗り込んで捜査をしたいところだが、彼の地は決してディーディアではないのだ。いかに焦ったくとも兎都に任せるより他ない。  近頃増えるようになった小さなため息をついて、サーミフは宮殿内を静かに歩く。自らが住っているとはいえ、宮殿は広大だ。思えば久しくここに足を向けていなかったと苦笑しながら、サーミフは警護の者が両脇に立つ巨大な扉をノックした。 「兄上、サーミフです」  同じ母から生まれた兄を訪なう時、サーミフは間に誰をも挟まない。自らの声で来訪を告げるのだ。あの日から始まったその約束に、扉の向こうからどうぞと声が響く。わざと音が鳴るように、ほんの少し乱雑に扉を開けた。 「珍しいな。お前がここに来るのはいつぶりだったか」  王子が持つには少し狭い部屋に、山と積まれた大小様々なクッション。そこに埋もれるようにして座った兄は、頬杖をつきながらサーミフを見つめた。相変わらずなその姿に苦笑し、サーミフは兄に近づく。

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