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第383話

「きっと、今のお前に私の言葉は半分も届かぬだろう。だがそれでも、私はお前に言おう」  そっと、兄が手を伸ばす。サーミフの頭をポンポンと、宥めるように撫でた。 「お前とて、泣いても良いのだぞ」  苦しかろう。自分が間違っていたと責め続けるのは。痛かろう。それでも国のために止まることすらできないのは。辛かろう。独り気丈に顔を上げ続けるのは。 「泣くことなど、私には許されない。兄上、私は間違い続けた」 「許されるさ。許されないことなどない」  お前もまた、人なのだから。 「サーミフ。この兄がたった一つ、断言できることを教えてやろう」  ほんの少し、お前よりも長く生きる者として。お前の、庇護者にはなりえなかった者の、せめてもの役割として。 「人は人である以上、先など見ることはできないんだよ」  老いも若きも、皆平等に。 「経験によって、あるいは勘によって、先を読むことはある程度できるだろう。だがそれは必ずしも正しいわけではないし、〝見える〟わけでもない。人間にできることは、その時その時に存在するあらゆるものをかき集めて最善と思われるものを掴むこと。それだけだ。そしてその結果が予想とは違うものになるのは、当たり前だとも言えるだろう」  完全なる先を知ることなど、できはしない。掴み取る者によって最善の意味もまた変わるだろう。

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