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第385話

「ではサーミフは、何が正解だと思うのだ」  全てを聞いた兄が、静かな声音で問いかける。終着点とまではいかないが、様々なことがわかってきた今、何を正解とするのか。 「ツバキ殿を夫人にしなければ良かった? だがそれを決めるのは父上であって、我々は反対できたとしても最終的な決定権は持っていないし、仮にそれができたとして、我が国の言葉すらおぼつかなかった、特権階級でしか生きたことのない彼女の人生はどうなっていただろうか」  ディーディアの王子として、その考えを全肯定することはできないが、兄もサーミフもツバキの判断を理解することはできた。それくらい、あの時の親子が選べる選択肢は少なかった。 「ならば夫人だけを受け入れて子供は宮殿から追い出すべきだったか? それは夫人を受け入れないという選択以上に残酷だ。仮に兎都へ送り届けたとしても、今回の件に巻き込まれて処断される運命だっただろう」  現に凪の腹違いの兄は父親と一緒に捕まったと報告されている。そして子供を一人放り出すなど論外だ。 「では夫人の子供なのだから王子としての地位を授けてやれば良かったか? だが、それをすんなりと納得する国民と臣下はいない。反発が起こり、その矛先は夫人のあの子に向かうだろう」  王子という地位は、そう軽いものではない。仮にそれを現実にしてしまえば、今以上に凪はこの宮殿の中で孤立していただろう。そしてそんなことをした王室もまた存続を危ぶまれる。  王室が揺れれば、他国がその隙を突いてくるだろう。ディーディアを欲しがっている国は山程あるのだから。たった一人のために、国を揺らがせるわけにはいかない。

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