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第398話

「ならその権限で現状打破をお願いしたいところなんですが」  この部屋は警備上の都合もあって完全防音ではない。外から声が聞こえれば凪は気に病んでいつまで経っても回復が進まない。ストレスを侮ってはいけないと言ったことを忘れたのかと言わんばかりの医師に、サーミフは苦笑しながらも頷いた。 「そちらの方はもう手は打った。お前にも協力してもらうことになるが」  すまないな、と言うサーミフに医師はほんの少し首を傾げる。 「流石は殿下。手を打たれたのなら私は何も言いません。元より、彼の治療は私の仕事です。私がどうであれ、彼の環境を整えるのが最優先ですから」  さっさと実行に移してくれと言って、医師は扉一枚で繋がっている使用人が使う部屋に下がる。パタンと扉が閉じる音を聞きながら、サーミフは凪に近づいた。 「少しは食べられたか?」  凪の前に置かれたリゾットは確かに形が崩れているが、さほど量が減っているようには見えない。だがサーミフはそれを指摘することなくベッドに腰掛けて、そっと凪の額に手を当てた。 「熱はないようだな」  そっと添えられた大きな手は温かくて、凪はついつい瞼を閉じる。胸の内で微かに波打つ何かが静まるような感覚がした。

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