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第400話
「あぁ、解けていたのか。ありがとう」
生まれた時から王族であるサーミフは慣れてはいるものの、やはり本人の性格としては面倒なのだろう。美しく結ばれた紐をチラと見やって面倒そうに目を細める。ほんの微かな変化で、ともすれば怒っているようにも見えるそれがどんな心境を表すのか、凪は考えずとも理解できる。この方は有能で、けれど私生活では少し子供っぽいのだ。クスリと、気づけば凪は小さく笑っていた。
「……そう笑うこともないだろう」
言って、サーミフはフイと顔を背ける。凪がサーミフの表情を読み取れるように、サーミフもまた、凪がなぜ笑っているのかを正確に理解できる。それでも表に出すのが怒りではなく拗ねた仕草であることが無性に懐かしくて、凪は再びクスリと笑った。
「殿下の衣装は何にしたって複雑ですから、致し方ないかと。ですが、そのために――」
私たち使用人がいる。そう告げようとして、凪は言葉を詰まらせた。
〝殿下と離れられるのに?〟
先程医師が告げた言葉が脳裏に蘇る。
それを凪自身が望むのか、わからない。自分の意思すらわからないというのに、サーミフの考えがわかるはずもない。
彼はどのような振る舞いをしていたとしても根底は優しいのだと凪は知っている。きっと凪の足が治るまではこの生活が続くだろう。だが、全快すれば? サーミフは、それでも凪を側に置きたいと願うだろうか?
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