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第411話

「殿下?」  どうしたのだろうかと凪は首を傾げる。そんなにも不快なことを言ってしまったのかと瞼を伏せた時、サーミフはもう一度「ありえない」と告げた。 「誰がその場に立っていようと悩むものだ。簡単に正解など見えはしない。他の誰かがそこに立っていたのだとしても、間違える時は間違える。あるいは、ナギの結末よりも、もっと悲惨な結果を出す者もいただろう。そこに生きるのは、心を持った人間なのだから」  それに何が間違いかなど、それですら見る者が違えば結論も変わってしまう。 「ナギ。お前が羨ましいと言った兄上も、先程のお前と同じことを仰っていた」 「……え?」  悲しみと後悔を混ぜたような瞳で、あの人は微笑んでいた。 「私はそうあってやりたかったんだと、仰っていた」  サーミフにはサーミフの後悔がある。きっと、兄には兄の、サーミフには全てを理解しきることのできない後悔があるのだろう。 「きっと、そんなものだ。感情があれば後悔もする。百万の人々が口を揃えて〝それは間違いではない〟〝後悔などしなくて良い〟と言ったところで、自分が納得できなければ己の中でそれは間違いとなる。後悔となる。そして他人には言うのだ。それは間違いじゃない、後悔しなくて良い、と。きっとその矛盾こそが、人なのだろう」  わかっていて、それでも伝えたいと思うのもまた、人だ。  あなたの辿ってきた道は、間違いなんかじゃないと。  どの口がそれを言うのかと、嗤われるかもしれないが。

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