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第415話
離宮に移ったからといって、サーミフの多忙が無くなるわけではない。しかし本人が言ったように、この離宮には食料などの配達を除いて誰も訪れてはこないため彼自身はゆったりと過ごしているようだった。心なしか、宮殿にいた頃よりも顔色が良いように思える。目の下の隈も薄くなっているようだ。ならば自分ができることは一つとばかりに、凪は車椅子を動かしながらあちこちと動き回っていた。
床はもちろん、ぶつけて花瓶などを割ってはいけないから掃除は他の使用人に任せるよりないが、それ以外なら今の凪にもできる。サーミフが帰ってきてすぐ寛げるように装飾品の無い、肌触りを重視した室内着を用意し、調理場に顔を出して今日一番の果物を料理長と一緒に吟味する。ついでにその果物に一等合う茶も選んだ。
サーミフが帰ってきたら過ごしやすいよう空調を効かせるのだから、今のうちとばかりに大きな窓を開け放って外の風を取り入れる。ふわりと髪を撫でたそれを肺いっぱいに吸い込んだ。
「車椅子が与えられた途端に動き回りますね、あなた」
そよそよと流れる風を楽しんでいれば、後ろから呆れを滲ませた声が聞こえた。クルリと車椅子を操作して振り返る。そこには半目になった医師が立っていた。
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