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第416話
「まったく、部屋にいないから探し回ったじゃないですか。まだ薬も診察も無くすほど、あなたの身体は回復していませんよ」
時間を忘れたのかと言われ、凪はハッとして懐から懐中時計を取り出した。それが示す時間を見て肩をすくめる。
「すみません。すっかり時間を忘れてしまって……」
懐中時計の針は、とうに診察の予定時間を過ぎた場所を指し示している。これは随分と探させてしまったようだ。
申し訳ない、と身を縮こまらせる凪に医師はひとつ大きなため息をついて、ツカツカと近づいてきた。そしてほんの少し屈み、凪の顔を覗き込む。
「まぁ、顔色が良いので構いませんけどね。でも、一度部屋に戻りますよ」
言うやいなや、医師は凪の背後に回って車椅子を押し始めた。
「車椅子は慣れましたか? 足が痛いとか腰が痛いとか、ありません?」
コツリ、コツリと回廊を歩きながら医師が問いかける。それを聞いた凪はツイと肘掛けに指を滑らせた。
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